■理事長就任にあたって

高橋 伸夫

 2019年6月に慶応義塾大学で開催された春季大会に合わせて開かれた評議員会・理事会で私が新理事長に選出されました。園田茂人前理事長の行き届いた学会運営の後をうけて、今後2年間、他の理事会メンバーとともに本学会の運営を担っていくことになりました。会員の皆様のお力添えを賜ることができれば幸いです。
 本年7月26日付『毎日新聞』に掲載された記事によれば、日本の自然科学系の主要学会は、いずれも会員数の減少に直面し、活動が縮小する傾向にあるとのことです。この傾向は理科系に限ったことではなく、人文系および社会科学系の学会についても同様にみられるようです。いまやわが国の多くの文科系の学会は、会員数の減少、研究大会参加者の減少、学会誌への投稿の減少、研究大会開催場所の確保の困難、理事の引き受け手を見出すことの困難などに悩まされています。なぜこのような事態となっているのでしょうか?その要因はおそらく複合的なものです。私の頭に浮かぶのは、(a)大学院生の減少、(b)大学の教員の忙しさが増し、ボランティアとして行う理事の仕事がいっそう辛いものになっていること、(c)学会が増えて(あるいは乱立して?)、もともと忙しい一人の人間がいくつもの学会に同時に所属するため、ひとつの学会に対するコミットメントが物理的にも精神的にも制約されること、(d)大学が土曜日も授業を行うため、大会用の教室を確保しにくくなっていること、などです。
 このような条件下で、学会の魅力を増すために何ができるでしょうか?即効性のある解決策は望めそうにありません。当面は地味で漸進的な改革を積み上げてゆくほかはないだろうと考えています。例えば、理科系の学会では珍しくないように、大学院生が一校、二校を単位として「学会支部」を作り、それが自主的にセミナーを開催する場合にはいくらかの財政的支援を行うというのはどうでしょうか?国際的な交流をより盛んにするために、近い国々・地域に「海外チャプター」を設け、研究大会の際にはチャプターにパネルを構成してもらうとか、学会「本体」が現地に乗り込んでいってチャプターと合同で大会を開催するなどといったことはどうでしょうか?あるいは、当学会と研究領域が近接するがゆえに、会員が少なからず重複している諸学会のひとつ、あるいは二つと合同で研究大会を開催し、可能な場合には合同でセッションを設ければ、おそらくいずれの学会にとってもメリットとなるでしょう。
 本田宗一郎の「試す人」を真似ていえば「試す学会」でありたいと考えます。会員の方々のお知恵をお借しください。

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