《ニューズレター13号》 |
大会予定 お知らせ 東日本大会 東京女子大学 5月27日(土) 2000〜2001年度 新役員決まる ◆1999年10月30日(全国大会)の第2回定例理事会で、2000〜2001年度の常務理事が決まりました。一方、理事選挙は、99年8月に評議員218名に対して投票用紙を送付し、149名の方が返送、うち145名の投票が有効でした。投票の結果と東日本・西日本のバランスの2つをもとに、「理事」44名(東日本33名、西日本11名)を決定し、さらに10月30日の理事会で、「常務理事」24名(東日本16名、西日本8名)と「監事」2名を選出し承認されました。なお、選出された理事は44名のうち11名が新しい方です。リストは巻末の役員一覧をごらんください。 理事長 天児 慧(青山学院大学)
理事長就任にあたって ◇アジア政経学会会員の皆様、新しい年を迎え、気持ちも新たに日々ご活躍のことと拝察いたします。さて私こと、昨年10月の学会全国大会での常務理事会におきまして、理事長に就任するようおおせつかりました。私自身、気持ちの上でも体力の上でもまだまだ「若手研究者」だと思い、日々切磋琢磨することを課題としております。しかも人格・業績など理事長にふさわしい尊敬する先輩諸先生がなお幾人もおられる中で、このような重責を担うことにはいささかの躊躇いと、大いなる不安がありますが、これも1つの「天の声」と思い、謹んで引き受けさせていただくことに致しました。
月例研究会の充実化を! 会員数の増加に伴い、学会での報告の機会がなかなか持てない会員の割合が増加しています。分科会の数を増やすことも考えられますが、月例研究会の回数も増やしていきたい、と考えています。東日本大会、全国大会の開かれる月は別にして、年間6回程度は開いて、会員の切磋琢磨の場にしていきたい、と思っています。1回につき、お二人の会員に報告していただきますので、年間10名を越える方のお話しを聞けることになります。報告は30分、コメンテーターのコメントが10分、残りの時間で質疑応答。またときには、たまたま日本におられる海外の研究者の報告をうかがう機会をつくりたい、と思っています。
年代、研究領域を越えた学術研究交流を! 編集担当、財務担当の仕事をへて、今期から研究(西日本)担当をおおせつかりました。前任者の北原淳先生(名古屋大学)のひかれた路線を踏まえながら、学会会員の相互の研究交流の促進、研究会活動の活発化のために微力を尽くしたいと思います。なにぶん不慣れではありますが、よろしくお願い致します。すでに実施されている月例研究会の複数回のブロック別(例えば、九州地区、京阪神地区、中京地区など)の開催、大学院院生の修士論文報告会の開始など、研究者の年代を越え、また研究領域を越えた学術研究交流の促進につとめたいと思います。研究交流促進のうえで参考になるアイデア、ご提案、ご要望がございましたら、ご連絡いただければ幸いです。 558-0022 大阪市住吉区杉本3-3-138
国際交流担当理事より ◇これまで総務担当理事として、学会の事務全般を扱ってまいりましが、今期は国際交流を担当させていただくことになりました。 ◇本学会は近年、かなり意識的に国際交流に力を入れてまいりました。一昨年の京都大学での全国大会では、北東アジアの安全保障に関するパネル討議が海外からのゲストを交えて開催され、昨年の青山学院大学での全国大会は、周知のように中国建国50年に関する巨大な国際シンポジウムになりました。こうした大会以外にも、オーストラリアのアジア研究学会や韓国の北東アジア経済学会との交流、あるいは『チャイナ・クオータリー』誌への投稿促進に関する取り決め等が、具体的に進められてまいりました。
財務の仕事は2つ! 学会の財務の仕事は2つあります。
学会事務の統合と改善 寝ても覚めても「名簿管理」の4年間でした。「広報担当の事務から解放され、総務担当に移りました」と言いたいのですが、どうも簡単には行かないようです。とにかく年間60から70名、新規会員が加わり、100名以上の会員について住所、所属先の変更が起こるというすさまじい学会です。発送業務もこれまでは総務、広報、財務、編集、大会主催校などで行なわれていました。原則的に広報担当が最新の宛名シールの作成に協力してきましたが、会員数が1100名に近い現在、すでに「家内制工業」では対応しきれません。なんとか、発送作業などの事務の統合、効率化、一部外注化に目鼻をつけて、仕事を引き継ぎたいと思っています。また、できるだけ会員にとって有益な新しいスタイルの「会員名簿」(国別、専攻別の研究者要覧)を5月めどに編集したいと思っています。会員アンケートへのご協力、よろしくお願い申し上げます。 |
<第53回全国大会概要> 「東北タイにおける住民運動と『農地』問題」−傍聴記 加藤和英(九州国際大学) ◆10月30日、三好会員より「東北タイにおける住民運動と『農地』問題」というテーマのもとで報告がなされた。三好報告は、「イサーン小農民会議」と「貧民フォーラム」という2つの住民活動団体を事例として取り上げ、農地問題についてどのような論理で、どのような要求がなされてきたのかを検討するとともに、国家の土地管理制度について、法制度と生活用地分配事業の展開を考察するものであった。 |
西日本部会定例研究会の報告 ◆さる99年11月26日(金)、大阪市立大学文化交流センターにて、99年度西日本定例研究会が開かれ、とくに関西大学に客員教授でみえている北京大学法学部、徐湘林助教授にも報告をお願いすることができ、約40名の参加者があった。以下はその報告の要旨である(西日本研究担当 北原 淳)
農村基層選挙と中国の民主化 ◆中国の農村基層に対する政府の管理体制は、改革・開放による人民公社解体後、一種の機能不全に陥っていた。そのような状況のなかで、村民自治と村民選挙、すなわち「村民委員会」の組織化、その構成メンバーの直接選挙、という代替的な集団管理方式が、村民により自発的に行なわれるようになってきた。その結果、1997年3月には、全国93万の村(全体の約80%)で、村民委員会の直接選挙が普及するにいたった。
マレーシア工業化の現段階 ◇アジア通貨危機のマレーシア工業への影響は如何という問題意識をもって、99年11月にローカル企業5社と日系企業3社の聞き取り調査を行なった。聞き取りを行なったローカル企業のなかで特に印象に残ったT社の成長の軌跡を追うと、80年代前半に日系精密機械メーカーの技術指導でプラスチック成型をはじめ、90年代に他の日系メーカーの技術指導を受け金型製造に乗り出し、また別の日系メーカーのOEM生産も手掛けた。最近ノルウェーの携帯電話部品メーカーと合弁企業を起こし、欧州のきわめて精巧で短期大量生産可能な金型製造技術と機械を導入した。
義序研究に宗族制度と中国政治文化の関係構造の探求を ◆私の研究テーマは、中国農村社会論である。福建省・福州市の近郊にある「義序」という村落のケース・スタディを通して、かつての「宗族郷村」(「同族」村)を追跡研究しながら、近・現代中国農村社会を、権力構造とエートス及び両者の関係構造という側面から解明しようと考えている。さらに、その延長線上に中国政治文化、すなわち、中国社会における「政治優位」と家族主義との関係構造という問題を論究の射程に入れて、それを主に基層・構造基盤の視点より探求したい。
マラッカ海峡からみた東南アジア ◆東京外国語大学で第1期生として、マレーシアを専攻したのが縁で、大学を卒業し、民間企業に就職したにもかかわらず、マレーシアの研究を続けております。今回、恩師の小野沢純先生のご推薦により、入会させて頂くこととなりました。小野沢先生には、サイド・フシン・アリ編著『マレーシアー他民族社会の構造』(勁草書房、1994年)を共訳させて頂きました。
雑多なアジアを読み解くために・・・
タイ農村社会と住民運動 ◆私は修士課程以来、タイにおける農村住民運動を研究の対象としてきました。これまでは住民運動側の要求項目や運動形態、ならびに運動が依拠していると考えられるその正当性を中心に、考察を進めてきました。ここ最近は、住民運動の中で大きな争点となっている国有地における土地問題について、農地改革制度との関連で考察を進めています。この課題を通じて私が理解できたことの一つは、近年のタイにおける農地改革は、農業発展に積極的に寄与する土地制度の改革ではなく、むしろ社会保障的な側面の強い国有地の割当てに過ぎないというものです。監督官庁はあくまでも農地改革事務所が担っていますが、その中身はむしろ、1940年代から行われてきた生活用地分配事業と類似点が多いのではないかという点です。
台湾における環境教育政策 ◇この度、入会させていただきました萩原豪と申します。学習院大学大学院政治学研究科の博士課程に在籍し、日本と台湾の環境政策の比較研究を行っております。現在は、財団法人交流協会日台交流センターの「1999年度歴史研究者交流事業日本人派遣者」として、台湾台北市において研究活動を展開しています。 |