《ニューズレター11号》 |
アジア政経学会全国大会について アジア政経学会の第53回全国大会は、10月30日(土)から31日(日)にかけて、青山学院大学で開かれます。すでに大会開催に向けて、プログラム案の作成をはじめとして準備が進められてています。自由論題については会員に対するアンケート調査の結果を中心にしながら、研究対象の地域と問題を考慮して、報告候補者を選定してまいります。 |
■西日本部会39回大会開催校からのメッセージ 大会準備委員長 小川 雄平 西日本部会39回大会は6月19日(土)に西南学院大学で開催の予定です。まもなくご案内をお送りいたします。 今回も、若手研究者からの自由論題研究報告希望が多く寄せられましたので、3分科会方式(第一分科会:中国政治・社会、第二分科会:中国経済・NIEs経済、第三分科会:ASEAN・インド)を採ることで、全員の報告を可能にしました。また、報告者の持ち時間を1時間(報告40分・討論20分)としました。その結果、共通論題研究報告・討論の時間が短くなってしまいました。調整のまずさの故で、お詫びしなければなりません。 共通論題研究報告・討論は、中国建国50周年にちなんで、「中国建国50年を総括する」をテーマに、趙鳳彬・筑紫女学園大学文学部教授(元中国吉林大学教授)の基調報告と、佐々木信彰・大阪市立大学経済学部教授ならびに緒方康・愛知大学法学部教授による問題提起の後、全員で討論しようというものです。座長は上原一慶・京都大学経済研究所教授にお願いしています。全国大会でも「中国建国50周年」にちなんだ報告・討論が行われると思いますので、その前哨戦といったところでしょうか。活発な議論を期待したいものです。 会場である西南学院大学は、福岡市営地下鉄で福岡空港から20分、JR博多駅から15分という便利な地点にあります。おそらく梅雨入り前で、魚も美味いと思われます。多数の皆様のご参加をお待ちしております。 |
■東アジア経済学会・開発技術学会共同研究集会のお知らせ アジア経済の研究に関心のあるいくつかの学会が共同で学会を開催することになりました。ただいま報告希望者を募っておりますので、奮ってご応募下さい。 ◆日程 1999年11月5日(金)、6日(土) ◆場所 北九州国際会議場(新幹線小倉駅前) ◆主催者 東アジア研究合同研究集会実行委員会 委員長 市村真一(東アジア経済学会会長) 委員 阿部茂行(京都大学)、高坂章(大阪大学)、中兼和津次(東京大学)、山下彰一(広島大学)、ラムステッター(国際東アジア研究センター) ◆共催学会 東アジア経済学会、開発技術学会 ◆協力学会 アジア政経学会、開発経済学会、東アジア学会 事務局 国際東アジア研究センター(803-0814 北九州市小倉北区大手町11-4 電話:093-583-6202、fax:093-583-6576、E-mail:esaki@icsead.or.jp) 論文提出期限 論文発表を希望される方は要旨を7月2日(月)まで、採用の方は9月13日(月)必着にて、上記事務局までご送付下さい。 この件にかんするお問い合わせは、上記事務局か、あるいは中兼和津次(fax: 03-3818-7082、E-mail:nakagane@e.u-tokyo.ac.jp)までお願い申し上げます。(中兼和津次記) |
特集 新人会員の声 ◆以下に紹介しますのは、1999年2月から4月までにアジア政経学会に新規加入された会員からのメッセージです。広報部の依頼に快く応じて寄稿してくださいましたみなさまに、まず心よりお礼を申し上げます。期せずして、さまざまな分野の方からさまざまな声を寄せていただきました。アジア政経学会の会員の幅が大きく広がっていることを、読者の皆様も感じ取っていただけるものと思います。このニューズレターでは、こうした企画をどんどん進めていきたいと思っています。ぜひ、広報部までお寄せください。 ◎寄稿先:広報担当 東京大学 末廣 昭 ファックス 03-5841-4905 ◎電子メイル asuehiro@iss.u-tokyo.ac.jp 日本のアジア研究にも新しい"風"を 菅沼雲龍(モラロジー研究所、日中・米中関係史) ◇生まれは中国、教育を受けたのは日本、大学院の生活はアメリカで送りました。1979年に中国から引き揚げてから、千葉県にある麗沢大学外国語学部を卒業しました。卒業後、アメリカで二つの修士号(St. John's University とSyracuse University) と博士号(Syracuse University) を取得し、現在は、麗沢大学の母体であるモラロジー研究所研究部に勤めています。 ◇私の研究テーマは主に日中・米中関係史です。いままで論文すべては英語で発表し、そして学術雑誌に掲載したため、日本語の論文はかなりご無沙汰しています。今年度中に、私の博士論文をベースにした本が University of Hawaii Press から出版される予定です。アメリカのアジア研究の現状は、今までの"伝統的な"方法を変え、新しい"風"としてもっと interdisciplinary な方向に進んでいます (Asian Studies Newsletter, vol. 44, no.1 参考)。例えば、学会のセッションでも、参加者たちは中国人、日本人、そしてアメリカ人といった様々な国からきた学者たちで構成され、また彼らの専門分野も、政治学、経済学、地理学、人類学など幅広く非常にユニークな議論が活発に行われています。私はこのような学会で発表することで得た様々な経験を、アジア政経学会でも生かして行きたいと思います。 交通政策からみた地域振興問題研究 戸崎 肇(明治大学商学部、国際交通論) ◆はじめまして。この度会員に加えていただきました戸崎肇と申します。どうか宜しくお願い申し上げます。 ◆もともと研究者になろうとは思いもつかず、また、学部時代は体育会でボートを漕いでおりました関係上、学問の方はさっぱりでした。それでも何とか日本航空に潜り込み、空港でのチェックイン業務から毎夜の営業活動(?)など、会社人間としての有り様を、現場でみっちりたたきこまれました。その間、社会状況の変化から、社会人に対して大学院の門戸が広く開かれるようになり、母校(京都)の大学院へ、当時の赴任地であった福岡、東京から、毎週遠距離通学しておりました。宴会が終わってから最終の夜行バスに乗り込む日々は、大変だったにもかかわらず、今でもよい思い出、辛いときの励ましとなっています。博士論文の追い込みを機に会社を退職(実はリストラにあったという説もあり)、95年から帝京大学の方にお世話になりました。そして、今年4月より、明治大学の商学部で国際交通論を講じております。 ◆以上のバックグラウンドからも想像がつきますように、専門は航空政策を中心とするもので、特に交通政策を基盤とした地域振興問題に興味をもっております。ただ、その一方で、中国を中心とするアジアの環境問題にも取り組んでおり(公共経済学の範疇として、当人は整合的な研究分野の選択であるとは思っておりますが)、この学会では、その方面での研鑚をつみたいと考えております。至らないことは重々承知いたしておりますが、学生時代からの体力にものをいわせ、全力で突進していきたいと考えております。皆様のご指導のほど、何とぞ宜しくお願いいたします。 アジアの意味を問うことの必要性 季 衛東(神戸大学法学部、法社会学、中国法学) ◆アジア通貨危機によってアジア・ブームは水をかけられました。わざとこのような時を選んでアジア政経学会に参加したようだが、実はたまたま乗り気になっただけで、他意はまったくありません。 ◆アジアはヨーロッパ以上に豊饒な存在であり、とりわけその価値観や文化には、よりいっそうの多様性・多元性が見られます。例えば中国の場合、宗教の領域でさえ「宗教的市場」という観を呈し、法律も契約的関係と絡み合って、規範と個人意志の組み合せをめぐる交渉において、一種の選択空間が広がっているのです。しかし、これまでのアジア研究は、経済、政治、社会、法律などの各専門分野の現象を実証的に考察し、優れた個別的成果を蓄積してきたものの、バラバラに散在している複雑な諸事象の関連付けおよび意味付けを充分に行なってこなかったのではないでしょうか。したがって、21世紀を目の前にして、アジア政経学会は、地域社会の構造や具体的制度・措置の機能のみならず、その正統性の根拠および文化的ヘゲモニーに関わる意味処理のほうにも、いっそう力を入れるべきだと思います。 ◆もちろん、かような期待を寄せることは、これまでの知的な営為が「無意味」であるというようなことを、全然含んでいません。まさに以上に述べた問題意識を前提として、私自身の研究は、「チャイナー・ウォッチング」の情報一点張りのやり方からも、短絡的法近代化論のステレオタイプからも距離を置き、中国的法秩序およびその変遷を、「なに」と「なぜ」の両方から分析し、各構成要素の間の関係や相互作用や、「意味のウエッブ」を解釈する作業(一般にいう法律解釈学と違う次元での文脈的・構築的解釈 hermeneutics)に焦点をあわせてきました。それは、ピカソの絵を見詰めながら、その奇妙な変形、着色、筆触などの現象背後の意味を読み取るような、鑑賞的・読解的活動と幾分似ています。 どうか、これからはいろいろとご教示を下さいますよう、宜しくお願いします。 アジアの日本人商工会議所 川辺 純子(東京大学大学院経済学研究科、マレーシア経済論) ◆アジアでの現地調査に出かけ、現地の経済、日本企業の動向などに関する情報収集のために、日本人商工会議所に立ち寄られる方も多いと思う。しかし、この日本人商工会議所を研究してみようという研究者は、あまりいないのではなかろうか。というのは、日本人商工会議所は日系企業の集まりであり、その機能は相互の情報交換や外部者に対する情報提供などにすぎないと思われがちだからである。日本人商工会議所は業種を超えて現地に進出した民間企業が設立したもので、その活動ならびに財源は会員によって支えられている。そのために、会員企業の親睦、情報交換といった一般的な共通目的を持っているのは間違いない。 ◆しかし、こうした性格を持っている日本人商工会議所が、意外と受入国の経済発展のために、大きな役割を果たしているのである。工業後発国であるアジア諸国の場合、政府主導のもとで、外資導入政策を軸に工業化を展開している。したがって、アジア進出日本企業は、受入政府が実施しようとする産業政策、民間企業育成政策などの工業化政策への協力と、その過程で生じてくる問題への対応に当たらなければならない。そのためには、政府と企業を調整する何らかのメカニズムが必要となってくる。この両者の関係は、市場メカニズムでは調整できないため、進出した日本企業が持ち込んだ経済団体である在アジア日本人商工会議所が、受入国政府と進出日本企業との間で調整機能を果たしているのではないかと思われる。 ◆現在、マレーシア日本人商工会議所を中心に、盤谷およびシンガポール日本人商工会議所の事例研究を進めている。本学会において、アジア進出日本企業側、ならびにアジア受入国側の両面からのアプローチによる幅広い知識が得られることを期待している。 アジア政経学会によせる期待 王 楽平(東京大学大学院経済学研究科、中国農業問題) ◆今年2月に本を出版しました(皆さん、もう買いましたか。書名は『中国食糧貿易の展開と条件』御茶の水書房です)。疲れと達成感からか、以来論文を書くことがおっくうになってしまいました。なんとかしてやる気を湧かせないと思い、友達の紹介した「シナジー・セミナー」に参加することにしました。集中力を高める効果があるといわれたからです。セミナーが始まるとまもなく、私の思い違いであることに気がつきました。参加者の多くは、何らかの悩みを抱えていて、ここで人生のありかたを再確認する目的で来たらしいからです。悩みの打ち明け、家庭関係、人間関係のありかた、自分の原点の探求などの段階を通じて、参加者は2日間で赤の他人から親友になったようでした。握手もめったにしない日本人が、ここでは男女を問わず抱擁していました。まさに人類はみな兄弟であるという感じで、感動しました。このゴールデン・ウィークは決して無駄ではなかったわけです。 ◆さて、このたびアジア政経学会に入会することができて、大変うれしく思っています。千人以上の会員を有する大学会であるだけに、諸先生や多くの先輩方からいろいろと学ぶことができ、あるいは学会を通じてより多くの知識、情報が得られ、学問の上達が期待できそうです。でもそれ以上に期待したいのは、学会がコミュニケーションの舞台として、各会員の相互理解と友情を深めるよう、積極的に役割を果たすことだと考えます。 北東アジア経済圏の形成 李 鋼哲(立教大学大学院経済学研究科、北東アジア経済圏論) ◆私の研究テーマは、「北東アジア経済圏の形成についてー図們江地域開発を中心にー」です。もっとも日本では、環日本海経済圏というのが普通です。 ◆私がこのテーマに興味を持ったのは、私の故郷(吉林省延辺州)に対する関心がきっかけとなり、そこで自分の能力を活かせると自信を持っていたのが決定要因であった。実際に、私は経済学に興味を持っていながらも、それを勉強し始めたのは日本に来てからである。中国では雑学家で、大学では哲学、大学院では共産党の歴史を勉強し、卒業して教鞭をとったときは、労働組合について教えていた。田舎で働きながら日本語を独学し、大学と大学院では英語とロシア語を学び、因みに朝鮮語が私のマザー・ランゲージであって、これを経済学と結び付けて自分を活かさないのは、もったいないと思った。北東アジア5カ国で架け橋となり、研究者になるのが私の目標で、私の人生と運命がそこにかかっているように思う。 ◆日本で学会活動に参加しはじめたのは、5年くらい前からであるが、この学会についてアクセスできたのはわずか半年前で、私の情報力が弱かったかもしれない。実際に入ってみると、私が関心を持っている中国研究、朝鮮半島研究、開発経済学研究などにおいて、多くの専門家や学者のお名前がずらりと揃っていたので、驚きと喜びを感じた。ひとつの期待としては、若手研究者に発展と成長のチャンスを与えることと、人的ネットワークを強化し、十分に活用できるように工夫してもらいたいと思います。 ベトナム農村社会論 岩井 美佐紀(神田外語大学、ベトナム農村社会論) ◆私の研究テーマは、ドイモイ以降のベトナム農村社会の変容です。これまで、北部の紅河デルタ村落の変容を中心に考察してきました。周知のとおり、ベトナム北部の農村では、約30年ものあいだ、農業の集団化(1958ー88年)を実施しており、時給的な稲作経営のなかで、階層分化を極度に抑えた均質的な社会が維持されてきました。それが、農業生産合作社という組織です。1988年の土地分配後、集団経営システムとしての合作社は機能を失いましたが、その社会機能が維持されている合作社もあります。市場経済化のなかで、北部ベトナム農村、そしてその基盤の上に形成された合作社の機能も大きく変容しています。その展開を、今後も追求していくつもりです。 ◆さらに、北部ベトナム村落を相対化するために、南部メコンデルタ村落の調査も並行して行っています。フランス植民地による大規模な農業開発以来、商業米の栽培など、商品経済の浸透により階層分化が進んだメコンデルタ村落は、東南アジア農村社会の一般的な特質を共有しています。とくに私が着目している点は、村落人口の25%を占める「土地なし」雑業世帯の存在です。土地が均等に分配され、農業収入では格差が生まれない北部農村と異なり、今日の南部村落は階層性が明確です。 ◆このように、南北ベトナム村落の社会構造の差異や、変動の現われ方の相違を明らかにすることによって、ベトナム村落社会の実相を浮き彫りにすることが今後の課題です。 よろしくお願いいたします。 日中戦争への道とその世界化:新しい研究を志して 鹿 錫俊(日本学術振興会特別研究生、1930年代の日中関係) ◆昨年春までの私の研究は2つに分けられる。ひとつは、日本に焦点をあて、日本の対中政策、それを実行するために日本がとった対米方針、日本の政策・方針に対する中・米側の対応などの進展から、1930年代の日本、中国、米国の3国関係史の研究に取り組んだ。もうひとつは、中国の対日政策に重点をおき、満州事変より塘沽停戦協定までの国民政府の対日政策とそれを制約していた内外要因を究明することを目的とした。これらの研究は、一橋大学及び中国の母校である復旦大学に提出した2つの学位論文として、それぞれ出版の運びとなっている。 ◆それ以来、私は次の2つの新しいテーマに取り組んでいる。 ◆第一は、「『防共』問題をめぐる相克と日中戦争、1933ー1937年」と題するもので、ソ連、中国共産党をめぐる日中間の齟齬という視点から、日中全面戦争への過程を再検討することを試みるものである。対象とする時期において、国民政府の対ソ連、対中共関係は、敵対から合作へという質的変化を伴った。このような変化によって形成された新たな中ソ関係と国共関係は、国民政府の抗戦への転換に大きな役割を果たした。 他方、同時期において、いわゆる「赤化の脅威」に対する危機感と、国民政府の「連ソ容共」に対する警戒感は、常に日本側の対中政策に重大な影響を及ぼし、それによるいわゆる「共同防共」の指針は、日本当局の対中政策の正当化の道具でもあれば、戦争に至らしめた一要因でもあった。したがって、ソ連と中国共産党問題に焦点をあてて追究すれば、新しい角度から「日中全面戦争への道」を解明できると考えられよう。 ◆第二は、「中日の『戦争終結構想』と日中戦争の『世界化』、1937ー1941年」と題するものである。日中全面戦争が勃発したあと、国民政府は日本と第三国の軋轢を利用しつつ、第三者を日中戦争に介入させ、「外圧」を利用することにより、日本に外交的に勝利するという戦争終結構想を堅持していた。それにもとづいた「日中問題の世界化方針」と「日中紛争の国際的解決原則」とを両輪とする抗日外交戦略は、日本側の「日中問題の日中二国間での早期解決」という戦争終結構想と対立し、日中戦争の長期化とその後の「世界化」、つまり太平洋戦争の勃発に密接につながっていたと考えられよう。その史実を実証的に考察することを通して、太平洋戦争に至るまでの「中国要因」を究明しつつ、それに対応する日本外交の推移にも新たな分析を試みたいと思う。 |
■会員からのお便り 『中国の産業発展と日本的生産システム』を書きました 明治大学商学部 カク燕書(Hao Yanshu) ◆1980年代以降、中国のテレビ産業は、もっとも速いスピードで発展してきた産業の一つとなった。それを可能にしたのは、第一に中国の改革・開放政策が実施されたこと、第二に国内市場の需要が爆発的に拡大したこと、第三にそれにより、外国の「先進的な生産技術と科学的管理方式」が多経路で、しかも迅速に導入することができたこと、さらに、第四に技術導入先が国際的な競争優位性をもつ日本企業に集中したこと、といくつかの契機と条件が整ったことによるからである。 ◆移植産業として成立し発展してきた中国のテレビ産業は、後発利益を享受する典型的な事例ともいえ、東アジア諸国の工業化の流れの一環として捉えられる。だが同時に、中国に固有の条件に基づく面もある。日本企業の進出と技術移転により、中国のテレビ産業はそれまでの手作業を中心とする立ち遅れた生産方式から、コンベヤ生産ラインを導入した流れ作業による大量生産の段階に入った。量産体制が確立する過程で、日本企業は中国企業に対してどのような技術を移転し、どのような特徴を付与しているのか。同時に受け入れ側の中国テレビ産業はいかにして技術を吸収し、どのような生産システムを形成していったのか。またそれは、中国のテレビ産業においてどのような意味を持ち、中国の工業化と産業競争力の向上にどのような影響を及ぼしたのか。 ◆こうした問題関心に基づき、テレビ産業の成立と発展の過程に焦点をあて、現地調査を行い、具体的な事例分析を通じて、中国の工業の近代化と日本的生産システムの国際的普及との関係を追求するということが、私のここ数年の課題であった。今回それが『中国の産業発展と日本的生産システム』という形で、ミネルヴァ書房により最近刊行されることになった。まだ、未成熟で残された課題も多いが、会員の皆様の忌憚のないご批判をお願いする次第です。 |
■『China Quarterly』誌への投稿論文の英訳支援について 『China Quarterly』への投稿論文の英訳について、財政支援の申し出がありました。 オックスフォード出版会東京支社のご仲介により、財団法人大同生命国際文化基金が投稿論文の英訳に必要な財政負担をして下さるようになりました。これによって、中国に関連したテーマの日本語論文について、年間10編ほど英語翻訳を委託できることになりました。 英訳された論文の投稿先は原則として、第1優先順位は『China Quarterly』誌です。不掲載の場合は、その他の雑誌への掲載は自由です。投稿論文の1編の長さは、400字で30枚程度です。掲載に際しては、英訳支援について「大同生命国際文化基金」への謝辞をつけます。『China Quarterly』誌では、投稿は初出論文を原則としています。論文の選定については、編集担当の石井明理事が担当し、石井理事を中心にワーキング・グループを設置することになっています。ご関心のある会員は、石井理事宛にご連絡下さい。 153ー8902 東京都目黒区駒場3ー8ー1 東京大学教養学部 大学院総合文化研究科国際関係 石井明研究室 ファックス03ー3816ー6864 中国研究の中心誌 The China Quarterly 1999 Personal Subscription $ 68 ◆ロンドン大学SOASが刊行する当誌は、現代中国に関する上質の研究を30年間にわたって送り出し続けています。イギリス・アメリカかEditorial Boardを多数迎えている当誌は、現代国際社会で極めて重要な位置を占める中国への世界の目を反映します。伝統的な視点も持った書評と同時に、季刊誌として、中華人民共和国、台湾、マカオ、香港の新鮮な出来事をお伝えし、読者の情報データを更新しています。取り扱うトピックは、政治・国際問題・経済・通商・地理学・人工統計学から美術・文学までと幅広く、『The China Quarterly』は中国問題に関するもっとも学際的な中心誌としての声望を確立しています。 連絡先:Toyoshi Onji, Journals Director, Japan, Oxford University Press オックスフォード大学出版局 113-0023 東京都文京区向丘1-1-17-5F 電話 03ー3813ー1461;ファックス 03ー3818ー1522 電子メイル onjioup@po.iijnet.or.jp |
■安部フェローシップ(ABE FELLOWSHIPS)ご案内 ◎安部フェローシップでは、次の3つのテーマのいずれか(複数でも可)に関連する人文・社会科学領域の研究に関心をもつ、日米の学界及びその他の分野の研究者を支援します。人文科学領域の研究は現代に焦点をあてたものに限りますが、ただし、研究テーマを十分に掘り下げるために必要であれば文化的、歴史的側面の研究を含むことはさしつかえありません。 (1)グローバルな課題。;(2)先進工業国に共通する課題。;(3)日米関係を緊密にしていく上で重要な課題。 ◎安部フェローシップの支給期間は、12カ月を上限とします。フェローは、研究目的にふさわしい日米いずれかの機関に所属し、海外での滞在またはフィールドワークを行なうことが要請されています。 ◎同フェローシップは、日本国籍または米国国籍をもつ研究者、もしくはその他の国籍で日本または米国に活動の拠点を置く研究者を対象とします。申請者は博士号(Ph.D.)または専門分野での同等の経験を有することを条件とします。申請者は上記の研究対象テーマのいずれか(複数でも可能)に関連する研究計画を提出してください。現代的な課題を扱い、比較的あるいは国境を超える視点をもつ、政策指向型の研究であることを重要な採用基準とします。安部フェローシップは、研究活動を支援するものであり、視察旅行、交流活動、及び語学研究のみを目的とするものは対象となりません。 今回の研究計画の申請書提出期限は1999年9月1日です。お問い合わせは、下記までご連絡ください。 安部フェローシップ・プログラム 107-6021 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル20階 国際交流基金日米センター内 米国社会科学研究評議会(SSRC) 東京事務所 電話 03ー5562ー3506; ファックス 03ー5562ー3504 インターネット <http://www.ssrc.org/abefell.htm> |
[編集後記]
今回は新規会員の声を集めてみました。会員も1000人を越え、学会事務を一部の理事のボランティア作業のみに依存するのは、だんだんと困難になっています。近い将来、恒常的な事務局の設置についても話し合っているところです。さて多くの学会では、すでにホームページを開いておりますが、広報担当が情報通信技術やインターネットに暗いため、アジア政経学会ではまだ実現していません。ホームページの開設につき、ご協力いただける人は連絡をとっていただけますか。 |