アジア経済研究所編集『アジア動向年報』「重要日誌」の公開にあたって

 

アジア経済研究所「アジア動向年報・重要日誌」の検索システム作成について

 アジア政経学会は、日本におけるアジア研究の進展と研究者の交流のために、「アジア研究者データベース作成委員会」(代表者 末廣昭)を設置し、日本学術振興会の科学研究費「研究成果公開促進事業」に対して助成を申請しました。そして、2003年度と2004年度の2年間、わたしたちの申請事業に対する助成が認められました。
 この助成事業の一環として、2003年度は、学会機関誌である『アジア研究』の創刊号から現在までのバックナンバーの全文PDF化をはじめ、日本貿易振興会の『ジェトロセンサー』『中国研究』の目次、戦前の『南支那及び南洋事情』の目次などを電子情報化し、すでに2004年から学会のホームページで公開しております。一方、2004年度には、同じく学会が刊行してきました『現代中国研究叢書』シリーズの全文PDF化を完了させると同時に、アジア経済研究所が長年編集刊行しております『アジア動向年報』の「重要日誌」部分について、ネット上での検索システムの構築に取り組むことにしました。
 アジア経済研究所が編集する『アジア動向年報』は、1960年代に遡ることができますが、ハードカバーの形態で出版・販売されるようになったのは、1970年版からです。この本は、国・地域別に担当者が配置され、当該国の1年間における政治経済動向の概観・分析と日々の現地の新聞記事などから作成した詳細な「重要日誌」の二つの部分からなります。アジア諸国の動向を伝える年報の類はいくつかありますが、北東アジア、東南アジア、南アジアのすべてを網羅し、かつ1年ごとの重要事件・事項を35年間にもわたって継続的に追究している出版物は、この『アジア動向年報』以外ありません。その意味で、この本はアジア諸国の研究者にとっては大変に貴重かつ便利な情報源であります。
 そこで、「アジア研究者データベース作成委員会」では、作成元であるアジア経済研究所と協力して、この本の「重要日誌」部分をすべて再入力したうえで電子情報化し、1970年から2000年までのすべての「重要日誌」の内容について文字検索ができるシステムの構築を目指すことにしました。「作成委員会」は電子情報化に必要な資金と入力作業を分担し、アジア経済研究所のほうでは「重要日誌」の作成に関わった執筆者との連絡や原版の提供などを分担していただきました。
 「作成委員会」とアジア経済研究所の間では、共同作業を開始するにあたって合意文書をかわし、ここに公開されているオリジナルデータの電子情報については、「作成委員会」とアジア経済研究所の双方が著作権を有すること、「作成委員会」のほうでは日本学術振興会の助成事業の条件にしたがって「無料による公開」を行なうこと、アジア経済研究所は提供された電子情報をもとに独自に加工して、一般のひとびとに別途提供することができること、などを相互に確認しています。
 ご覧いただければ分かりますように、現在公開されている「重要日誌」は、キーワードや人名を入力すれば、これを含む重要日誌の全文、国名、年月日の一覧が簡単に検索できる、大変便利なものです。また、この重要日誌を作成するにあたって元資料となっております現地の新聞は、アジア経済研究所図書館でマイクロフィルムのかたちで閲覧することができますので、ご利用ください。多くのひとびとにこの検索システムが活用され、今後のアジア研究の進展に貢献することを切に願っております。最後になりましたが、この作業を遂行するにあたり、多大なご協力をいただきましたアジア経済研究所の関係のみなさまに深く感謝いたします。

「アジア研究者データベース作成委員会」代表者 末廣 昭  2005年6月