■アジア政経学会の紹介と沿革

1会員の動向

本学会は「アジア地域の主として政治、経済について理論的及び実証的研究を行い、その成果を公開すること」という目的のために、1953年に設立され、57年に財団法人として登録されました。2013年には財団法人に関する新法の施行にともない、一般財団法人となります。

本学の会員は、2012年8月末現在、一般会員1233名、名誉会員10名、優待会員(会費優待)61名、維持会員(企業もしくは個人による賛助会員)4、特別会員1名の合計1309名を数えます。これは現代アジアに関する日本の学会としては最大規模のものです。

学会の会員の方(名誉会員と一般会員を合わせた数)を、所属先の住所で「東日本」(静岡県より東)と「西日本」の2つの地域に区分しますと、東日本が833名、西日本が419名(数名は両方に所属)となり、約3分の2が東日本に所属します。本学会は、東アジア、東南アジア、南アジアの3つの地域を主な研究対象地域としていますが、762名が東アジア、東南アジアが398名、南アジアが117名、残りの会員が「アジア一般、アジア太平洋地域、その他地域」という分布です。したがいまして、東アジア地域を中心とした学会といえるでしょう。ただ、近年は東南アジアと南アジアを研究対象とする会員が増えています。また、積極的に東南アジアや南アジアの他の地域学会ともホームページを通してリンクしています。

2学会の歴史

アジア政経学会が発足したのは、日本がサンフランシスコ講和条約を締結してまもない、1953年5月5日のことでした。アジア関連の学会では、戦後もっとも早く設立された学会のひとつです。この日、東京大学に隣接する本郷・学士会館で設立発起人会を開き、続けて同年6月27日・28日に、慶應義塾大学で第1回大会を開催しています。設立発起人は約50名で、その中には初代理事代表の植田捷雄(東京大学)、英修道(慶應義塾大学)、板垣與一(一橋大学)、山本登(慶應義塾大学)、川野重任(東京大学)、石川忠雄(慶應義塾大学)、石川滋(一橋大学)、衞藤瀋吉(東京大学)の各先生が含まれていました。

全国レベルでの研究大会は年1回、1988年からは関東部会(のち東日本大会)、西日本部会(のち西日本大会)でもそれぞれ地区研究大会を開催するようになりました。なお、現在までの学会の理事長一覧と、第1回研究大会から現在(2012年の関西学院大学での全国大会は66回目に相当します)までの全国大会の日程、共通論題、主催校の一覧は、添付しました付表1と付表2をご覧ください。

本学会は発足時50名から始まりました。その後、創立30周年を迎えた1983年当時、会員数は500名に達し、1987年に600名を越えました。その後、一時期会員数の伸びは緩やかになりましたが、1990年代に入ってアジア地域への関心の高まりや在日留学生の増加にともなって、新規加入者が相次ぎました。1993年の創立40周年のときが800名、1997年7月が949名です。そして、1999年には1000名を遂に越え、2012年8月には名誉会員と一般会員のみで1243名に達するまでに発展しました。

3学会の活動

アジア政経学会の主な事業は、(1)年1回の全国大会の開催、(2)年1回の東日本と西日本での地区研究大会の開催、(3)学会研究誌である『アジア研究』の年4回の発行、(4)『ニューズレター』の発行(現在は年2回)、(5)1989年の東京都立大学における「アジアの経済発展と民主化」を第1回目とする国際シンポジウムの開催、などです。また、1993年9月に「アジア社会科学研究協議会連盟総会」(通称アースレック)が日本で総会を開催したときには、本学会が全面的にこれに協力して総会の成功に貢献しました。

このうち(3)の『アジア研究』は、岡部理事長、平野編集担当理事の時代にレフェリー制度を導入し、編集委員会とそれを支える会員による厳正なレフェリーのもとで運営しています。『アジア研究』の創刊号以来の全論文と書評の目次、内容については、学会ホームページの「アジア研究データベース」をご覧ください。

一方、1993年の本学会創立40周年を記念して、山田理事長時代に渡辺次期理事長との共同監修で企画されたのが、『講座現代アジア』全4巻(東京大学出版会)の刊行です。この講座は、第1巻(土屋健治編『ナショナリズムと国民国家』)、第2巻(中兼和津次編『近代化と構造変動』)、第3巻(萩原宜之編『民主化と経済発展』)、第4巻(平野健一郎編『地域システムと国際関係』)の4冊からなっていて、当時の日本の現代アジア研旧の水準を示す業績として高く評価されました。さらに、2008年の国分理事長時代には、アジアをめぐる情勢の大きな変化の趨勢を見て、再び本学会監修『現代アジア研究』全3巻の編集・刊行を行いました。第1巻(高原明生・田村慶子・佐藤幸人編『越境』)、第2巻(竹中千春・高橋伸夫・山本信人編『市民社会』)、第3巻(武田康裕・丸川知雄・厳善平編『政策』)です。この3つのテーマ設定は、近年のアジア世界の現実と学問の潮流における変化の大きさを物語っています。40周年時の講座とともに、会員の方にはぜひ手元においていただきたいシリーズです。

4学会の組織

学会の入会を希望する人は、会員2名の推薦があり理事会で承認されますと、会員になることができます。本学会では早くから大学院生にも会員の門戸を開き、研究大会や学会誌への投稿を奨励してきました。大学や民間機関の研究者だけではなく、大学院生でアジア研究を志す人たちの層が厚いことが、本学会の大きな特徴だといえます。なお、学会への入会を希望されたり関心のある方は、このホームページの「学会入会申込み」の欄をご覧ください。

次に学会の組織について紹介します。本学会は次の組織と役員から成り立っています。

  1. 評議員(2012年現在18名)
  2. 理事(同24名−東日本17名、西日本7名)
  3. 監事(同2名)
  4. 業務担当理事:研究担当(東日本・西日本)、編集担当、ニューズレター担当、広報担当、国際交流担当、法人改革担当、財務担当、総務担当、学会賞担当
  5. 副理事長(同1名)
  6. 理事長

本学会の役員は会員(10年以上の会員暦を有し、会費を滞りなく払っている全ての会員)による選挙で選ばれ、学会の最高意思決定機関である理事会は年に6回の頻度で開催されています。また、評議員会は東日本大会と全国大会の開催期間中の年2回開かれており、それぞれの決定はホームページに随時掲載される理事会/評議員会議事録でご覧になれます。

5学会の今後の課題

会員数が急速に増えていることもあって、本学会が取り組むべき課題も多岐にわたっています。以下、簡単に現在検討中の課題を列記します。

第一に、研究活動の国際交流の推進と学会活動の国際化を図る。すでに本学会では「国際シンポジウム」を開き、全国大会でも海外の研究者を招いて英語ないし中国語のセッションを設けるようになりました。また2012年年には、ベルリン日独センターおよびドイツアジア学会との共同で2つの国際シンポジウムを開催しました。今後は、こうした海外のアジア研究関連学会との交流の一層の充実の他、海外在住の会員に対するサービスの強化、研究成果の英語による刊行などが考えられます。

第二に、増加する会員に対する迅速で幅広い情報サービスや研究支援を実施するために、業務体制、編集体制の改善を図る。従来は学会の業務や学会誌の編集作業は、もっぱら業務担当理事がボランティアで担ってきました。しかし、1000名を越える規模に膨らんだ学会を維持するためには、少数の人員でこれを支えるのは困難になってきています。したがいまして、学会運営についても今後は中長期のプランが必要になっています。

第三に、会員の活動をより全国的な規模に拡充していく。最初に紹介しましたように、現在の会員の地域別分布は東日本が約3分の2となっています。ただし、東日本、西日本のいずれの場合でもカバーする県は広く、会員の日常的な交流や接触には迅速に対応しきれていません。また、北海道、北陸、中国、四国などの会員数は、アジア研究者の地理的分布の割には少ないといえます。近年は北海道、福岡、広島などに大会開催地を分散させていますが、今後はホームページを活用した情報交換や広報サービス、より地域に密着した研究活動も必要であろうと考えています。

付表1 歴代理事長一覧

付表2 全国大会の一覧

付表2 アジア政経学会の40年