シンポジウム「『普遍的価値』の危機と知識人の役割--現代中国からの視点--」のお知らせ


呉国光教授をお迎えして


【日時】:2019年3月22日(金)13時30分〜18時
【場所】:大阪商業大学梅田サテライトオフィス(グランフロント大阪タワーA(南館)16階 http://ouc.daishodai.ac.jp/satellite/
【主催】: 中国現代史研究会
【共催】: 神戸大学先端融合研究環・現代中国研究拠点
【基調講演】:呉国光氏(カナダ・ヴィクトリア大学)「人文社会研究与価値関懐:従韋伯到後全球化時代(人文社会学研究と普遍的価値への関心:ウェーバーからポスト・グローバリゼーションの時代へ)」
【報告】:石井知章氏(明治大学)「現代中国における普遍的<近代>の模索」
【 報告】:倉田徹氏(立教大学)「『世界標準』か、『中国の特色』か:香港の民主・自由・法治」
【パネルディスカッション】: 呉国光氏、石井知章氏、倉田徹氏、阿古智子氏(東京大学)、水羽信男氏(広島大学)
【司会】:王柯氏(神戸大学) 
【シンポジウム趣旨】
 「今日、士風は日々下り、学林が腐敗し、趨炎附勢の者が横行し、これを目の当たりにして権勢に身を預ける者ばかり、学者としての節操と誇りを殆ど失ってしまった」。
 これは最近中国の思想界で注目されている在野の学者栄剣が2012年に発表した「重慶詣でに走った学者たち」と題する論文のなかで、「純粋に利益とチャンスを得るために争って」、薄熙来の「重慶モデル」に讃美を送る中国の知識人の堕落に対する痛烈な批判である。2018年11月、彼はハーバード大学フェアバンク・センターで、「権力との関係性」の視点から学者の「独立人格」と「基本節操」を再び問い詰めた。その問いは中国の現状についての問いだけではなく、世界中の知識人、とくに中国研究に従事する者に対する問いであると強く感じられる。
 1949年以前、中共は自由、民主、憲政を用いて国民政府の正当性を問い、そして国民に自由、民主と憲政をもたらすことを約束して政権を取り、またそれを「憲法」(例えば第35、36条)にも入れた。しかしこれらの約束は果たされたのか、または果たそうとしたのか。近年の中国を巡る社会と政治の状況を見れば、その答えはノーである。しかし「極権政治」・恐怖政治の前に、大半の研究者が人権状況の悪化に目を瞑
って「自己審査」を貫き、強権政治にエールを送る「学者」に学界のリーダシップを譲ってしまい、普遍的価値が無視されつつある空気の中で有名無実な「研究」が横行し、中国の人文社会研究における学術の空洞化は実に無視できないほど日々拡大している。
 改革開放が始まってから、中国経済の規模とその国際社会における存在感は疑いなく増大した。しかし経済の発展は民主主義と法治を無視する一党独裁体制の正当性の証明になりうるのか、経済規模の増大は自由・平等や人権など普遍的価値が無視される理由になりうるのか。そして、新中間層の登場と増大化がなぜ中国で市民社会の成長をもたらさなかったのか。これらの問題に直面し、思考停止している知識人もいる一方で、その根源的な原因について思考を深めている知識人もいるはずである。「国家の嗜好」に迎合する「学術」は人間の思考力と価値観を破壊し、恐怖政治の助け舟になる。中国で発生した「普遍的価値」の危機とそのなかで「知識人」が果たした役割について栄剣が耳が痛くなるほど鳴らした警鐘は、学術研究と現実の社会との距離、そこに暮らす人々に対する人道的関心(humanitarianconcerns)との関係を再考させる。本シンポジウムはこうした問題意識に基づいて設定された。故趙紫陽総書記の政策立案に携わった著名な政治学者、現在カナダのビクトリア大学で教鞭をとる呉国光教授が基調講演をするほか、学界で活躍している研究者も数名登壇し、日本における現代中国研究にとっても有益な議論が展開されることが期待される。

[掲載期日] 2019年3月22日まで


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